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苦手を克服しよう!企画テーマその1「学パロ」
ということで、学パロ練習にお題です。
前回キスのお題で初挑戦した学パロをいたく気に入ってくださいました、ナユコさまたおさまに感謝をこめて。


【 学生恋愛 】 by リリィ・ライラックはなぜ死んだ
(どうせなら、見守って)
1.オレンジの境界線
2.友達以上 恋人未満
3.二人だけの世界
4.ランチタイム
5.始まりの放課後


 豚学やら迷七やらオリジナルやら、ごった煮のご都合主義。
 設定の捏造、キャラ改変はいつになくひどいです。
 死んでるはずのキャラが平然と生きてます。
 設定を練りながら書いているので、矛盾ありまくり。

 ノリと勢いだけで書きます。誤字脱字なんて気にしない。特に記載がない限りはバンエレです。






1.オレンジの境界線


 『それじゃあ、また明日』
 電波が届ける彼女の声に、バンは「ああ」と短く応えて通話を切った。



 オレンジの境界線



 ホームルームが終われば、バンはエレインの教室へ急ぐ。ひとつ上の学年の彼女は、オレンジ色に染まった廊下でバンを待っている。彼女の家まで並んで歩く。同居する兄の眼があるうちは、彼女の部屋にあがりこむことも難しい。そんな日には、部屋に戻った彼女からコールが入る。彼女の家から自宅までの、一人の道を彼女と話す。玄関をくぐり、ひきこもるセリオンの「おかえり」に手を上げて応じるだけで、通話は切らない。自室のベッドに倒れこんで、耳から流れ込む彼女の声に笑うのだ。
 バンの変化に、一番最初に気づいたのはセリオンだった。彼は家から出ないから、バンが家にいる限りその行動を一番よく観察している。何より、人の感情の機微に彼は聡すぎた。
 その彼が、バンが寸暇を惜しんで繋がりたがる電話の相手に、驚きを隠さなかった。
「バンが、誰かひとりに執着するなんてね」
 同い年の義弟の言葉に、バンは頷いた。自分だって驚いている。だが一番驚いているのは、セリオンからその話を聞いたジバゴだろう。
「お、おま、おまっえ、か、かかか彼女できた、って?」
 実の息子から、養子にしたバンの女事情を密告されると、うっかり嚙みまくるくらいには動揺していた。そりゃそうだ、とバンは養父をからかわなかった。今の今まで、来るもの拒まず去る者追わずで、女の間を渡り歩いていたような自分に、まさかこれほど心奪われる相手ができるなんて、自分が一番信じられない。
 誰でも良かった、優しくしてくれるなら。代わりで良かった、見返りをくれるなら。
 遊びだって、本命との繋ぎだって、ピンチヒッターだって。バンは呼ばれれば誰の女の元にでも行ったし、誰からもお呼びがかからなくても恨み言を口にしたことはなかった。そんな時は夜の繁華街を徘徊する。一夜限りの相手なら、バンの目立つ見てくれていくらでも釣れた。朝帰りは当たり前の息子の放蕩癖を、ジバゴは案じながらも多く口出しすることもなく見守っていた。
 そんな自分が、まさか。
「好きよ、バン」
 初心で、真面目で、化粧っ気どころかおしゃれも特別こだわらない彼女に、兄の決めた門限を正しく守るエレインに、バンは恋をした。何よりまさかなのは、バンの気持ちに彼女が応えてくれたことだった。一昔前なら、天変地異の前触れと噂されそうな椿事に、今、バンの身内は上へ下への大騒ぎになっていた。
 エレインが、二人の交際を家族に、特に兄にどう説明しているのかは知らない。少なくとも歓迎されていないだろう。先ほども、「兄さんが呼んでるわ」と彼女は電話を切る理由を伝えてきた。兄さえ邪魔をしなければ、いつまでもバンと話していたい。彼女の声音はそんな想いを隠さなくて、バンはオレンジ色の斜陽の中で別れたばかりの彼女の姿を思い浮かべながらしぶしぶ終話ボタンを押したのだ。
「エレイン……」
 彼女と繋がっていた、携帯電話を手放せないまま、バンはベッドに仰向けになったまま彼女の名を紡ぐ。また明日、と彼女が言った。明日朝一に学校に着いたとしても、彼女に会えるまであと何時間か。そんな長い空白は、エレインと出逢う前なら耐えられなかった。
 バンは孤独に、ひとりの時間に耐えられない。だから女の元に行く。バンが誰かの繋ぎであるように、相手だって自分がバンの繋ぎであることを承知していた。求められるのは、肌の温度だけ。愛だの恋だの、地の底から出て自由をからめとられるような感情は、お呼びでなかった。
 少しでも相手の女に本気がちらつけば、バンは全力で逃げたものだ。誰かに縫いとめられるなんて、バンにとっては、ひとりで過ごす夜にも勝る恐怖だった。
 それなのに。
 ああ、それなのに!
 おはようと笑ってくれる彼女を想って、ひとりに耐える。それが当たり前になってしまった。人肌より、何より、バンはエレインが欲しくてたまらない。
「会いてぇなぁ、エレイン」
 寝ても醒めても、心に浮かぶのはオレンジに溶ける彼女の姿なのだ。




【学パロ設定(覚書)】
 バンはエレインと付き合うまでは遊び人でした(ごめんなさい)。
 エレインは優等生です。ひとつ年上で早生まれなので、同じ学年にキングがいます。キングとはたぶん二人暮らし。
 バンの家は、養父のジバゴ、同い年で義弟のセリオンはヒキコモリ、三つ下のキリアちゃんも含めての四人家族です。

2016/2/29 Ban × Elain by hirune wahiko
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