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苦手を克服しよう!企画テーマその1「学パロ」
ということで、学パロ練習にお題です。


【 学生恋愛 】 by リリィ・ライラックはなぜ死んだ
(どうせなら、見守って)
1.オレンジの境界線 2016/2/29 済
2.友達以上 恋人未満
3.二人だけの世界
4.ランチタイム
5.始まりの放課後

 豚学やら迷七やらオリジナルやら、ごった煮のご都合主義。
 設定の捏造、キャラ改変はいつになくひどいです。
 死んでるはずのキャラが平然と生きてます。
 設定を練りながら書いているので、矛盾ありまくり。

 ノリと勢いだけで書きます。誤字脱字なんて気にしない。特に記載がない限りはバンエレです。




2.友達以上 恋人未満



 人混みから覗く金色の頭を、バンは見つけた。



 友達以上 恋人未満



 彼女のことはよく知っている。昼寝で世話になっている園芸部の、倉庫が出逢いだった。白髪紅眼、尖った髪型と顔つきに、二メートルを超える常識外れの長身。とてもカタギには思えない、頬から首にかけて走った傷がトドメになる。そんなバンの凶悪な人相にも、初対面の彼女は決して一歩も譲らなかった。いい思い出だ。
 男女の違いを差し置いても、バンと彼女ははまるで真逆の容姿をしている。
 エレインの髪は、太陽が沈んでも、陽射しを閉じ込めたように光っている金色だ。柔らかそうなその髪が覆う後頭部は、完璧な球形をしている。同じような金髪頭がたとえ10人並んでいようと、彼女を見間違えない自信がバンにはあった。自信に見合うだけの、頻度と好意で彼女を見ている。
 エレイン。
 彼女の名を、親しげに呼ぶのが近頃のバンの日課だ。その彼女と、偶然、同じ電車の同じ車両に乗り合わせた。彼女と、学校の外で巡り会うのは珍しい。早起きも三文の得だなと、予定外の乗車がもたらした幸運にバンは口角を上げた。
 朝のそれなりに人の多い時間帯、バンの隣では、男が雑誌を折りたたんで読んでいる。乗車率は200パーセント。彼女の元に行くに少し難儀する混み具合。だが遠慮や気遣いは二の次なバンにしてみれば、移動そのものは苦ではなかった。目的地に、気に入っている彼女がいるならなおのこと。
 エレイン。
 そう、声を出せばよかった。そうすれば小さな金色の頭が、きっとバンを振り返る。大きな瞳いっぱいに、バンの姿を映すだろう。集まる視線に、しょうがないわね、恥ずかしいのに、そう思いながらも、彼女が微笑んでくれるところまで容易に想像がついた。
 だが予想を実行に移さなかったのは、彼女の異変に気づいたからだ。俯いた、髪からのぞく耳が赤い。華奢な肩がかすかに震えているのが見て取れた。具合が悪いのか。
 いつもより一回りは小さく見える彼女に不穏なものを感じたバンは、邪魔な雑誌男を押しのけた。不満げな視線は、人相の悪さで黙らせる。エレインと自分との間に立ちふさがる、有象無象の人だかりを長い腕と大きな体で強引にかきわけていく。
 エレイン、どうした。
 彼女を想う一心で、混んだ車内を突き進んだ。最後の一人、若いジャージ姿の男が彼女にたどり着く邪魔をする。おい、どけ。今度こそ、彼女の名を呼ぼうとしてバンは目を見開いた。エレインが、泣いている。
 息を殺して、閉じた目尻の、彼女の睫が濡れていた。そして、前で握り締められていた彼女の手が動く。白いプリーツスカートの後ろを、押さえる手の先には不自然な膨らみが見えた。
 スカートの下で蠢くそれが、別の誰かの手だとわかった瞬間、バンは目の前が真っ赤になった。
「ありがとう……」
 エレインの声は、まだ震えて濡れている。電車の去ったホームには、バンとエレインの二人だけが残っていた。
 エレインのスカートに手をつっこんでいた不届き者は、バンに立ちふさがったジャージ姿の青年だった。一見さわやかなスポーツマン風の彼は、バンに腕をひねりあげられて駅員に引き渡された。どうにか殴らずにおいたけれど、バンの万力のような握力で握られた彼の手首は真っ赤に腫れ上がっていた。
「ああいう人って、痴漢だって思われないのね」
 エレインは、バンが乗り合わせる二つ前の駅から男に触られていた。近くで異変を感じた客はいても、男の外見とその堂々とした手口に、二人をはた迷惑なカップルとしか見てくれなかったようだ。それもまた、バンには腹立たしさの種になった。
「バンに、濡れ衣着せようとしてた」
 とぼける男の嘘は、バンとエレインが顔見知りだという事実の前に崩れ去った。そんなまさかと、二人の顔を見比べる男の反応にも、腸が煮えくり返ってやまない。
「バン?」
 危険は去った。エレインはバンを見上げて首をかしげている。バンの沈黙に、まるで見当がつかない様子の彼女を前にして、バンはようやく、腹に据えかねていた怒りを吐き出した。
「あんな野郎に、何させてんだよ」
 痴漢の被害者に、隙があったからだと責めるタイプの人間はどこにでもいる。エレインとその男を、迷惑なカップルと看過した客たちも同類だろう。だがバンが、彼女を批難できる身分かといえばそれは違う。
 バンはエレインの彼氏ではない。友達がせいぜいだ。だから、エレインが他の男とカップルだと誤解されても、バンの知らない男に好き勝手されていたとしても、バンが彼女に憤るいわれはない。
 だからこそ、腹が立つ。
 エレインはバンの恋人ではない。それなのに、自分のものを汚されたと感ずるこの不快な気分を、バンは彼女にぶつけずにはいられなかった。
「俺以外に、触らせてんじゃねぇよ!」
 怖かったろうに。やっと、ほっとしたんだろうに。友達らしく慰めてやることが、バンにはどうしてもできなかった。




【学パロ設定(覚書)】
 先日のチャットで「バンも嫉妬すればいいじゃない」という話になったので。
 二人とも電車通学ではないので、私的な外出でたまたま出くわしたのかな(考えてない)。
 学パロバンエレは原作設定とは異なり、知り合ってから交際するまでに間があいています。今回はその間の出来事。
 エレインは迷七設定に倣って園芸部所属です。

2016/3/3 Ban × Elain by hirune wahiko
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