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苦手を克服しよう!企画テーマその1「学パロ」
ということで、学パロ練習にお題です。


【 学生恋愛 】 by リリィ・ライラックはなぜ死んだ
(どうせなら、見守って)
1.オレンジの境界線  2016/2/29 済
2.友達以上 恋人未満  2016/3/3 済
3.二人だけの世界 2016/3/6 済
4.ランチタイム
5.始まりの放課後

 豚学やら迷七やらオリジナルやら、ごった煮のご都合主義。
 設定の捏造、キャラ改変はいつになくひどいです。
 死んでるはずのキャラが平然と生きてます。
 設定を練りながら書いているので、矛盾ありまくり。

 ノリと勢いだけで書きます。誤字脱字なんて気にしない。特に記載がない限りはバンエレです。






4.ランチタイム



 「待ってね! あとちょっとだから……!」
 彼女の必死な声に、これはもうしばらくかかりそうだなとバンは思った。



 ランチタイム



 家庭科の授業で習ったから。エレインはそう言って、バンに手作りの昼食を振舞うことを提案した。可愛い恋人の嬉しい提案に、もちろんバンが拒む理由はなかった。
 退屈な授業を寝て過ごし、昼休みのチャイムと同時に喜び勇んで家庭科室に乗り込んで早30分。バンは早々にランチタイムを諦めていた。エプロン姿の恋人の、見事な手際の悪さが原因だ。
 どうやらエレインは、手先が少々不器用らしい。彼女には、家庭科室の使用許可をもっともらしい理由をつけて教師からゲットできる機転と信頼がある。加えて、事前に材料を準備しておく段取りも完璧だった。だが彼女の不器用さは、そのすべてを台無しにして余りある。
 包丁でじゃがいもの皮をむこうとしたら、実より皮のほうが分厚くなる。仕方なく、ピーラーを持ち出せば手からじゃがいもが滑って宙を舞う。漫画かよ! とツッコみたいのをこらえるだけでも大変だった。
 包丁もだめ、ピーラーも使えない。最後の手段と、エレインはジャガイモを皮ごと茹でてからむいてしまうことにした。その発想は正しいし、授業で習ったことを実践しようとする彼女の心意気も立派なものだ。だがどうして、熱湯の中のじゃがいもを直接拾いあげようとするのか。彼女のやわな指が熱さに耐えられるわけもない。だいたいさっきまで手を洗っていた蛇口をなぜ使わないのか。白い指が赤く染まるのを見かねて、バンがとうとう手を出した。
「もうバンは手伝わないで。あとは私がやるから、ね?」
 少しすねた唇が可愛くて、キスをしようとしたらミトンではたかれて今に至る。バンがむいたじゃがいもはどうやらマッシュポテトになるようだが、その量の牛乳はちょっと多すぎやしないか。あれではマッシュポテトというよりはじゃがいものポタージュだ。だがバンは、彼女の流儀に口を挟まなかった。

 だって可愛いじゃねーか。

 学校の成績はさておいて、料理も裁縫もずっと器用な兄のいる彼女が、自分のためだけになれないことに悪戦苦闘している。「バンのお昼は私がつくるの!」と日ごろ穏やかな眉間に皺を寄せて、一切手出しさせないように仁王立ちするエプロン姿はたまらなかった。願わくば、そのエプロンが緑のダサい兄のお古ではなく、ピンクのフリルつきであればバンとしては新婚気分を味わえて最高だったのに。
 バンは彼女が作業する後ろの調理場に、腰を下ろして頬杖を付いている。二人きりのランチタイムはとっくに、バンのエレイン観察タイムへと変わっていた。
 まな板の周囲に雑然と並べられた材料は、たまねぎに、にんにく、ひき肉、パン粉に卵。これはハンバーグだな、と予想する。きっと彼女がつくるハンバーグは、食べられる部分より焦げてしまった範囲が多いに違いない。むしろ生焼けかもしれない。その焦げっぷり、生焼けぶりすら、バンには愛しさを募らせるエッセンスになる。たとえ暗黒物質だろうとほぼレアだろうと、彼女が作ったものなら男らしく一片も残さず平らげてやろうじゃないか。
 恋人の秘めたる決意をよそに、わたわたと、調理場を行き来する小さな背中に、バンはへらりと笑った。

 なんつーの、こう言うの? シアワセ?

 どうせなら、マッシュポテトはハンバーグを焼いているうちに、そもそも料理を始める前に炊飯器に米をセットするのが時短というやつだ。最初にマッシュポテトが完成してしまっては、ハンバーグが出来上がるころには冷め切っているし、今からでは米が炊き上がる前に昼休みが終わってしまう。炊飯器くらいはバンが勝手にセットしてしまってもいいのだけれど、気づいたときの彼女の反応と天秤にかければ動くわけにはいかなかった。
 やれやれ、今日の昼メシはマッシュポテトという名のビシソワーズと、少々焼きすぎた、もしくは半生の肉団子か。炊き損ねた米の後処理もバンが引き受けよう。どうせ次の授業も寝て過ごすのだから、少し長くここに居座っていても問題ない。だからせめて、彼女がたまねぎのみじん切りで指を切らなければいい。
「左手は猫の手だぞー」
「そ、それくらい、習ったもん!」
 習ったということは、授業で教わるまで知らなかったわけだ。明らかな兄の過保護の弊害を目の当たりにして、バンは料理台から立ち上がる。どうみてもたまねぎを握りこんでいた彼女の手が形を変えるのを尻目に、バンは調味料棚へと向かった。扉を開け、探し出したのは手作りハンバーグの出来栄えをグレードアップさせる魔法の粉だ。
 果たして彼女が、食べられるハンバーグを完成させることができるかはわからない。だがこれくらいの手助けは赦されるのではないか。彼女の努力と苦労が報われますようにと、バンはエレインの傍に並んだ塩と胡椒瓶の隣にナツメグパウダーをそっと置いた。
 



【学パロ設定(覚書)】
 エレインの不器用ぶりは迷七設定です。家事はほぼキング担当(過保護)なので、経験がないことも一因。
 家庭科と体育以外の成績は優秀で、教師の信頼も厚いです。

 ハンバーグのタネにナツメグパウダーを入れると旨いらしい(知ラナカッタ!)
 2016/3/10 Ban × Elain by hirune wahiko
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