考察&感想サイトさまにリンクした記念に。
お粗末ながら考察もどきのようなことを少し。
例のサイトさまが、第二部全体に関してどの記事だったかちょっとうろ覚えで申し訳ないのですが、「自身の罪の贖罪・清算をする」ストーリーなのではないかと分析されていて、ものすごーく目からうろこでした。
引き合いに出されていたのがバンの罪(エレインを死なせてしまったこと、妖精王の森を焼失させてしまったこと)で、キングを新生・妖精王の森にみちびいたことで「焼失の罪」の部分を清算した、というような趣旨だったかと記憶しています。(もしかして単行本未収録の回の感想に書かれていた考察だったかもしれません。なるべく本筋のネタバレは目に入れないようにしているので、どの記事だったか印象が薄いのかも)
なるほどなー。ディアンヌもマトローナが出てきましたしね。
この考察に目からうろこだったのは、私自身は第二部に関してまた違う印象を受けていたからです。
私はこの第二部を「七つの大罪の解散と再集結」だと予想しました。
解散と再集結って、すでに10年前に解散して今再集結してるところじゃないか、まんまじゃないかって言われそうなんですが、ちょっと違う。
第二部がスタートした時点で、マーリンも含めてすでに6人の大罪メンバーが集まっていたわけですが、すぐに彼らの結束は揺らぎ始めます。
まずバンが抜け、ゴウセルが暴走し、ディアンヌは迷走(これは完全にゴウセルのせいですが)、そして17巻ではついにキングまでがメリオダスに疑念を抱き始め、監視という名目で留まっていますが心理的にはかなり距離が生まれています。
そしてそれぞれに対する団長の反応は、バンは容認(バンになんのわだかまりも見せないのはメリオダスの懐のでかさなのか、バンへの執着のなさなのか)、ゴウセルはマーリンに一任、ディアンヌは放置(ひどい)、キングとはまともな話し合いを拒絶しています。これって組織をまとめるリーダーの対応として、かなりずさんだなと思うのです。
フォローを入れるとすれば、バンに対しては友情と信頼から、ゴウセルについては適材適所(でマーリンに任せた)、ディアンヌは状況判断から(これもマーリンのセリフどおり)、といったところですが、17巻のキングへの対応は正直あんまりだなぁという印象を受けます。
メリオダスの真意を問うキングに対して、
「話したところで信じてもらえるとも思えねぇ」
メリオダスのこのセリフ、すっごい失礼(笑)
キングはメリオダスに疑心を抱いているけれど、メリオダスはメリオダスでキングはもちろん大罪メンバー、そのほかの仲間たちを信じてないってことですからね。3000年の長きにわたる因縁ですからきっと一言では説明できない事情があるんでしょうけれど、せめてさわりだけでも打ち明けるべきなんじゃないのかなと。
少なくともキングは、メリオダスを信じたいと願っていて、でも彼の理性的な部分がその反証ばかりを訴えていて、彼はギリギリのところで踏ん張りながらあの質問をしているわけで。疑われてもしょうがない(自覚がある様子の)メリオダスは、信じてもらえるもらえないはともかくとして、わかってもらう努力をすることが誠意ではないかと私は思うのですが……。
ここで決定的な亀裂を生んで、キングに外れられては困るという意図があるのでしょうか。だとしたらどんな複雑な過去なんだ……。
しかしながら、ここで一度メリオダスの立場になって考えてみようと思うんです。
そもそも七つの大罪というのは、国王の千里眼(ヴィジョン)によって選任された組織なわけです。メリオダスが団長になったのも、バンたちが選ばれたのも国王の依頼があってこそ。彼ら自身が自発的に集まったわけでも、信頼関係を前提にメリオダスを団長とあおいでるわけでもない。
彼らの共通点は大罪人であること、言ってみれば異端者たちが肩を寄せ合ってるにすぎない。おまけにお互いの罪に干渉してはいけないという掟まである(そういえば残り6つの掟はどうなったんでしょ)。ものすごくビジネスライク。
それでもうまくいってたのは、メリオダスのおおらかなキャラクターとカリスマ性、そして十戒のような、彼らが束になっても敵わないような敵がいなかったから。エジンバラの吸血鬼さえ、感想サイトを読む限りでは各自自由行動の各個撃破でなんとかなったみたいだし。
そんなビジネスライクな彼らに、果たして自分の過去(しかもどうやらものすごく複雑らしい)を打ち明ける必要があるでしょうか。わかってほしいという気持ちになるでしょうか。
メリオダスが魔神族の系統にいるのは間違いないでしょう。
そして何らかの事情で、彼は3000年以上、外見上は歳もとらず生き続けている。どうやら魔神族からは異端扱い、女神族からは命を狙われている。封印後に生き残っている魔神族であれば、巨人族や妖精族からも当然つまはじきモノのはずです。となれば、寿命が短く世代交代が早く、過去が風化しやすい人間の社会で転々としていくしかない。そうやって行き着いたダナフォールでも愛する人を喪い、罪を背負う結果となった。
私は前々から、メリオダスとバンの友情に疑問符を持ち続けていましたが、この前提を踏まえると事情が変わってきます。16年前バンを牢から出すとき、看守の「人間じゃない」という発言にメリオダスは「奇遇だな」と共感を示しています。また、強すぎるあまり剣を持つことさえ拒んできたメリオダスにとって、不死身のバンは遠慮なく殴り合いのできる貴重な相手でしょう。何より、これから果てしのない生を歩んでいかなければいけないバンへの同情を、メリオダスが抱いている可能性は充分あります。
以上を踏まえると、決してわかりやすい形ではありませんが、メリオダスからバンへの友情のベクトルはしっかりと伸びていたのかなと思うわけです。
ですが、そのバンですら、メリオダスが魔神族であることに拒絶反応を露にしました。天秤の相手が彼の恋人とはいえ、メリオダスにとって、バンに「魔神族」(しいては「敵」「異端」)のレッテルを貼られて受け入れてもらえなかったこと(魔神族なのは変えがたい事実ですが)は大きな落胆を呼んだでしょう。
七つの大罪メンバーで、国王の命令を抜きにしてメリオダス個人を強く慕っているのは、バンとディアンヌです。そのバンの離脱、そしてディアンヌの逃走。そこにキングからの疑心。表にはまったく描かれていませんが、これってメリオダスにとってめちゃくちゃしんどいことかも……。そんな状況を考えると、メリオダスが真実を口にできないのも無理はないかもしれません。
大罪結成から10年前の離散までの6年間(?)、国王の命で任務に赴く彼らは、(異端同士それなりに仲良くやっていたようですが)あくまでも仕事上の関係でしかなかった。王国転覆疑惑が晴れ、七つの大罪として結束する必要がなくなった今、十戒という強大な敵を前にして、彼らは6年間でやってこなかったこと(ゆるぎない信頼関係を育もうとしなかったこと)のツケを払わされようとしている。
例のサイトさまの考察の通り、第二部ではバン以外のメンバーも自分の罪と向き合っていくのでしょう。その過程で、彼らはメリオダスへの信頼、七つの大罪に対する気持ちを問い直されるはずです。そうして彼ら自身の意思で、メリオダスの元に集ったとき、彼はようやくその重い口を開いてくれる……といいなぁ。すべてを打ち明けることで、彼が下ろせる重荷もあるだろうし。
とまぁ、考察サイトさまに触発されて、考察もどきを披露いたしましたが、なんともまとまりのない文章で恐縮です。
やはり人には向き不向きがありますね、痛感しました。それでも少し吐き出せてよかったです。バンエレ絡みの考察であれば、作品に昇華することもできるのでしょうけれど、原作全般にかかわることですとなかなかそうもいきませんので。
的外れな考察ならただただ恥ずかしい限りなのですが、こういう展開になるならなるで、もうちょっと団長に共感できるストーリー運びにはできませんかね。主人公に感情移入できないって、かなりしんどいです(苦笑)そのうち、すべての疑問やもやもやが晴れてスッキリできる展開が来ることを待っています。
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