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頭の体操も兼ねて、作品にもならないような小ネタを置いていきます。
無事に作品として形になったものはサクサク消していく予定。

【恋したくなるお題(配布)】様より「キスの詰め合わせ」お題です。

<キスの詰め合わせ>
1.始まりの合図のキス
2.言葉を封じるキス
3.目を逸らした隙にキス
4.キスがその答え
5.君からのキス
6.指切りの代わりにキス 2016/1/3済
7.温度差のあるキス
8.通信終了後の携帯にキス
9.キスの前にお願い一つ
10.薬指にキス 2017/1/7済
番外1.キスとキスの合間に(微エロなお題) 2015/12/31済
番外2.不意打ちなキス(無邪気な君へのお題) 2016/1/10済
番外3.痛む場所にキスを(嫉妬まじりの恋のお題)

ノリと勢いだけで書きます。誤字脱字なんて気にしない。特に記載がない限りはバンエレです。



3.目を逸らした隙にキス



 エレインとの出逢いは、バンにとって、生まれて初めて誰かを好きになることだった。好きな人の視界に少しでも自分の居場所が欲しくて、バンはエレインの気を惹くためのありとあらゆることをやった。


 目を逸らした隙にキス


 彼女の気持ちがバンに対してニュートラルなとき、バンに失うものはなかった。しかし紆余曲折を経て、どうやらエレインもまんざらではないことに気づくなり、バンはかつて感じたことのない不安にかきたてられる。ようやく手に入れた彼女の好意を、失うことが恐かった。
 エレインに出逢うまで、バンは常に自分本位に振舞ってきた。それで好かれるも嫌われるも相手の気持ち次第で、自分にはどうしようもないことだからと開き直っていた。しかし、エレインという、自分のクソみたいな人生の、間違いなく光になるだろう彼女を前に、その論理が重くのしかかりはじめる。一度でも彼女のに嫌われたら、自分から外れていく恋の矛先を、バンは引き止めることが出来ないのだ。その瞬間は、想像するだけでもバンを青ざめさせた。
 そうしてバンは、エレインになにもできなくなった。
 水浴びに誘うことも、抱きしめて眠ることも、ほんのささいな行動がエレインの嫌悪を呼ぶかもしれない。後ろ向きな考え方は不安を膨らませ、不安はバンの体をますますぎこちなくさせた。そのぎこちなさがエレインの目に奇異に映ることさえ怯えて、バンはついに彼女の前から逃げ出すことを選ぶ。
 これまでと打って変わって、逃げ回るようになったバンに、エレインはもちろん戸惑った。声をかけては聞こえないフリをし、近づけばあからさまに距離をとられるのだから当然だ。釈明をさせてもらえるのなら、バンとしてはそれがエレインに嫌われないための精一杯であったし、初めての恋は彼から冷静な判断力をものの見事に奪っていった。
「捕まえた」
 しかし、ここは妖精王の森。エレインが700年守り通した、彼女の庭だ。バンの拙い逃亡も長くは続かなかった。
「どうして逃げるの?」
「逃げてねぇ」
「嘘つき」
「嘘じゃねぇって」
「心を読むわよ」
「…………」
 奥の手を出されて、万事休したバンは黙秘を貫く。口をへの字に曲げて睨みつけるようなバンに、エレインは悲しげに眉尻を下げた。
「私が、嫌いなの?」
 違う。
「好きだってわかったら、もうどうでもいいの?」
 違う。
 けれど嫌われるのが恐くて逃げ回ってましたと、正直に白状するのはあまりにも情けなくて、バンはうまく慰めの言葉を選べない。そうこうしているうちにエレインが距離を詰めてきたものだから、下手なことを口走るまいと彼女から目を逸らした。そのせいでバンは、彼女が自分のそれに唇を押し付けるという、おそらく人生最高の瞬間を見損ねた。
「あなたが好きにさせたんだから、ちゃんとかまいなさい」
 勝気な口ぶりに反して、金褐色の瞳は潤んでいた。今にも泣き出しそうな彼女に、バンはもう逃げられないと観念した。




 たまには逃げるバンをエレインがおっかけるシチュエーションもいいと思うのです。
 2016/1/14 Ban × Elain by hirune wahiko
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