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頭の体操も兼ねて、作品にもならないような小ネタを置いていきます。
無事に作品として形になったものはサクサク消していく予定。

【恋したくなるお題(配布)】様より「キスの詰め合わせ」お題です。

<キスの詰め合わせ>
1.始まりの合図のキス
2.言葉を封じるキス
3.目を逸らした隙にキス 2016/1/14済
4.キスがその答え
5.君からのキス
6.指切りの代わりにキス 2016/1/3済
7.温度差のあるキス
8.通信終了後の携帯にキス
9.キスの前にお願い一つ
10.薬指にキス 2017/1/7済
番外1.キスとキスの合間に(微エロなお題) 2015/12/31済
番外2.不意打ちなキス(無邪気な君へのお題) 2016/1/10済
番外3.痛む場所にキスを(嫉妬まじりの恋のお題)

ノリと勢いだけで書きます。誤字脱字なんて気にしない。特に記載がない限りはバンエレです。




8.通信終了後の携帯にキス



 キングは見た。
 (家政婦ではないけれど)


 通信終了後の携帯にキス


 斜め後ろを歩いていた男が、自分の携帯電話に唇を落とす。その瞬間を、キングはどこぞの家政婦よろしく、絶妙のタイミングで目撃してしまった。
 そのキザったらしい姿に、キングは全身に鳥肌を立たせた。まだ夏も早い時分で、そろそろ妹のノースリーブのワンピースを出してやらなければいけないなと考えていた季節に、ぞくりと肝が冷えるのはなにも怪談話だけではないのだとキングは思い知った。もし万が一彼と二人きりの夜道でのことだったら、気持ちの悪さに雄たけびを上げながら走り出しているところだった。キングは、自分より数歩先を歩いているメリオダスやディアンヌたちの存在に心底感謝した。
 そうしてキングが顔を引きつらせていると、視線に気づいたバンと目が合う。キングの顔色に何を察したのか、彼はニヤリと笑った。切れ上がった紅い双眸を夜陰に光らせた、凶悪な笑みはまるで悪魔のそれだ。
「オ、ン、ナ」
 何も聞いていないのに、バンは口元に掲げていた携帯を振って恋人の存在をアピールしてきた。そりゃ女だろう。男だったら別の意味でホラーだと、キングはますます顔をこわばらせた。
「ガッコで会ってたってのによ、もう俺が恋しいんだと。かわいいよなぁ」
「へ、へぇ……。バンに彼女がいるなんて初耳だね。最近、なの?」
 心底どうでもいい。それがキングの本音だった。精一杯の相槌を打ちながら、会話を続けてしまう自分の律儀さにうんざりだった。
「まーなー。一週間くれぇ」
「そ、そう。それはおアツいね……」
 口の上ではそう言いながら、鼻白むところがあるのは否めない。しかしそれはバンに(自分より先に)恋人ができたのをやっかんでいるわけでも、ディアンヌに一向に告白できそうもない自分の意気地のなさからくる現状に悲嘆にくれているせいでもない。絶対に。
「素直で可愛いところもイイんだけどよ、ヴィジュアルもたまんねーんだよな」
 付き合い始めて一週間、きっと一番恋が楽しい時期だ。誰かに聞いて欲しくて仕方がないのか、浮かれきっているバンは知りたくもない情報を次々とキングに吹き込んでくる。その姿をキングはみっともないなと受け止めていた。羨ましいとはカケラも思わなかった。絶対に。

 バンの彼女、ねぇ……?

 キングは、半目でバンを見上げた。平均身長が世界一のオランダ人だって見上げなければいけない長身。無駄にでかいくせに、逆立てた髪でさらに高さを稼いでいる。その髪の色は、地毛らしいが、ブリーチでやろうとしたら髪が死んでしまいそうな銀髪だった。
 左頬の大きな傷、着くずした制服、つぶれたカバン。不良だ。どこからどう見ても、バンは正統派の不良学生だった。その不良の「オンナ」。日ごろ女性には年齢、ファッション、所作振る舞いの隔てなくフェミニストを心がけてはいるものの、本音のところでは健康的で笑顔の可愛い、身長も心も大きめな女の子がタイプなキングとしては、スケバンとかレディースとか、レトロな単語が似合うえげつない存在だろうバンの恋人とは、決してお近づきになりたくなかった。
「今度紹介してやろーか」
 見たら可愛さに腰抜かすぞ、とのろけるバンにキングは青褪める。きっとこの男は、恋に目が腐ってしまったのだ。
「いらないよっ!」
 断固関わり合いになりたくない。キングはご近所迷惑も顧みない悲鳴を上げた。




このお題ばっかりは、現パロ学パロにしないとクリアできませんでした。
大罪初パロ書きがこれかい!
2016/1/22 Ban × Elain by hirune wahiko
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