このページは、
 ・地雷など苦手な作風を避けたい方
 ・好みの話を探したい方
 ・書き手のコメントに興味がある方
 を対象にしています。
 ・読む前にネタバレしたくない方
 ・作品外で書き手の意図を知りたくない方
 はまわれ右でお願いします。

 左側のtext一覧をクリックすると、こちら側で簡単なあらすじとコメントが確認できます。コメントは各作品末尾にあるあとがきとは異なり、作品への思い入れや作品に込めた意図などに触れていることが多いです。
 おおよその作品傾向はもちろん、シチュエーション、苦手要素となりうるものを列挙していますので、お好みの作品を探すのにご利用ください。
 当然ですがあらすじもコメントも激しくネタバレです。


■ コメント ■
作品へのコメントはこんな風になっています。あらすじは見たいけど、コメントは読みたくない方はこちらをご覧になりませんように。
上手にご利用くださいませ。











































恋の苦薬

■ チェックポイント ■
 妖精王の森/セブンデイズ時点/両片想い/媚薬/切ない

 過去にゲラードから、食べてはいけないと忠告されていた媚薬作用のある木の実をエレインは見つけます。
 バンの本心知りたさに、エレインは彼に木の実を食べさせることを考えます。エレインが迷っているうちに、木の実を食べてしまったバンは彼女の前から姿を消してしまいました。
 不安を抱えながら彼を探すエレインは、媚薬の効果に必死に耐えているバンの姿を目の当たりにし、彼にとって彼女がどれほど大切な存在かを知り、自分の浅はかさに涙するのでした。

■ コメント ■
お薬の力で押し倒しちゃって強引に両思い! な展開も萌えますが、好きな相手だからこそ大切にしたい、乱暴したくない、と耐えるのも愛情だと思うのです。エレインへの気持ちにまだ下心がない状態のバンなら、こういう対応もありなのかなと。
ありがたいことに「続きが読みたい」というコメントをいただけました。書けるといいですねぇ。

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春の叫び

■ チェックポイント ■
 <豚の帽子>亭/ED後捏造/両想い/働くバンエレ/抱擁/バンのプロポーズ

 春の訪れに、リオネスにはブリタニア各地から食材と人が集まり、<豚の帽子>亭はレストランとして人気を博します。人気の秘密は春の食材をふんだんに使ったバンの料理でした。
 目が回るような忙しさの中、エールのソムリエールとして客の注文をとっているエレインの姿を見て、バンはひとり決断を下します。厨房を飛び出し、大勢の客や店員がいる目の前で、バンはエレインを抱え上げて求婚しました。エレインの答えはもちろんイエス。<豚の帽子>亭の誰もが、拍手喝采で二人を祝福します。

■ コメント ■
エレインのお誕生日記念ということで、「春」と「ハッピー」を前面に押し出した作品です。春が旬の食材の料理を探すのに苦労しました(笑)
七つの大罪メンバー総出演を目論んだものの挫折してしまったのが心残り。エレインの<麗しの暴食>亭衣装の描写については、イラストを参考にさせていただいたたおさまともやりとりを重ねた、とても楽しい思い出となりました。

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心臓にタトゥー

■ チェックポイント ■
 妖精王の森/セブンデイズ時点/両片想い/無自覚イチャイチャ/終盤はバイゼル喧嘩祭り時点でややグロテスクな描写あり

 バンのつんつるてんな上着が気にかかっていたエレインは、彼に花びらでつくった服をプレゼントします。バンは喜んでくれますが、いずれ彼が人間の世界に戻ることを考えて気持ちは沈みます。
 バンはエレインに人間の世界を語って聞かせます。綺麗な服にアクセサリーは、エレインにも似合うと請け負いますが、彼はすぐにエレインには必要ないと言い切り、夕陽に光る彼女を宝石のようと例えました。エレインもまた、そんな彼の美しさに見とれます。
 エレインの死後、バンをつけ狙うジェリコが彼の心臓を貫きます。ジェリコは自分の名を刻み込むことを望みますが、バンの心臓にはすでにエレインの名が深く刻まれているのでした。

■ コメント ■
珍しくお題先行型。
エレイン自身は彼の心の片隅に残れれば満足だったのに、残るどころか、彼女の存在はバンの命そのものでした、というお話です。花びらでつくる妖精族の服や、互いの姿に見とれあうバンエレなど、小ネタを仕込むのが楽しかったです。
バンエレは銀髪紅眼と金髪金眼で見た目にも非常に眩しいカップルですね。惚れた欲目も合わさって、互いの姿がさぞかし美しく見えたことでしょう。バカップル万歳。

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たとえ空を飛べなくなっても

■ チェックポイント ■
 妖精王の森/セブンデイズ時点/お互いに無自覚?/片腕だっこ/3DS設定が少し入ります

 森のことなら何でも知っていると自負するエレインに、バンは自分の足で立つことを命じます。浮遊の魔力まで奪われ、エレインは慣れない二足歩行に悪戦苦闘。バンに手を引かれて、泉のほとりで歩く練習をします。
 飛べなくなったエレインは、バンとの身長差を実感。バンが遠くなってしまって感じる寂しさを、彼女は羨ましさだと誤解しました。
 歩きかたもさまになったエレインに、バンは木登りを提案します。樹皮に触れ、下から見上げる世界に、エレインは何もかも知っていると思っていた森の新しい顔を知ります。興奮の中、大樹からの眺望をバンに抱えられて見つめるエレインは、彼の顔が再びすぐ傍に戻ってきたことに胸をときめかせました。

■ コメント ■
エレインもまだバンへの想いに無自覚なころのお話。3DSゲームでキングの浮遊の能力をバンが奪っていたステージから、着想。
エレインって体力ないし、浮いてばかりだから運動神経はかなり鈍いと予想。お手つないで歩く練習をする姿は、まるで親子のようです……ダメじゃん! 手を握り合ってはにかむ二人なんて可愛いと思うんですがどうですか(誰に聞いてるの)。
バンエレといえば、バンの片腕に抱っこされているエレインの姿ですが、その片腕だっこの最初の日をイメージしてみました。

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熾き火

■ チェックポイント ■
 妖精王の森/セブンデイズ時点/両片想い/エレインが恋する乙女化して暴走気味/抱擁/エレインを誘惑するバン

 バンの気持ちを託した花占いの結果に、一喜一憂するエレインの傍をチキン・マタンゴたちが通りすがります。彼らに見られて恥ずかしがるエレインですが、仲睦まじい三体のチキン・マタンゴたちの姿にバンとの将来を重ね合わせます。
 恋人になって、夫婦になって、子どもを作る。エレインの想像はバンと子どもを作るところに行き当たり、繁殖期の森の動物たちの様子を思い出して彼女はあわてます。
 軽いパニックに陥ったエレインは、体の向きを変えた反動で、いつの間にか傍にいたバンを押し倒してしまいました。エレインにまたがられても、余裕綽々の彼に彼女はあおられていきます。バンの甘い誘惑に、とうとう彼女の理性の糸が切れるのでした。

■ コメント ■
いつになく、エレインが妄想片想い女子と化し、バンがエレインに対し性的に挑発的になるお話になってしまいました。なんでこうなった。
着想をいただいたmiffyさまの「つがい」会話に、むしろ生々しい連想をして暴走してしまった私が悪いのか……。「続き……!」というコメントもいただいておりますが、今のところ続く予定はございません。裏ページ開設をお待ちください(未定)。こういう寸止め、もしくは匂わせる程度のお話が一番筆が乗ります(笑)
チキン・マタンゴをどう表現し、どう使うか、実は頭を悩ませました。

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ラベンダーの咲く庭で

■ チェックポイント ■
 <七つの大罪>聖騎士時代/ノベライズ『七つの傷跡』/死別中/エレインを忘れようとし、忘れられないバン/切ない

 ある任務で訪れた古城の厨房で、裏庭に出ようとしたバンはそこに咲き乱れていたラベンダーを見て昏倒してしまいます。その場にいた料理番の孫・フィル少年が介抱してくれ、フィルはバンが噂どおりの不死身だと知って驚きます。
 バンを怖がらないフィルに、バンは旨い料理の秘訣を伝授し、フィルはかつて飼っていたバンに似た白い大きなウサギの話をしました。ウサギはフィルたちが旅行に出ている間に、寂しさに耐えかねて死んでいたのでした。
 フィルを裏庭に追い出したバンは、ラベンダーから連想される彼女のことを想いました。名前を口にすれば崩れ落ちそうになる寂しさを抱えて、それでもバンは生きていかなければいけません。

■ コメント ■
ノベライズの挿絵の、お料理バンさんに萌え転がった結果の産物。フィルくんが良い味出してましたね!
バン=ウサギという連想、ラベンダーの花言葉、エレインの名前を口に出せないバン、どんなに彼女を忘れようとしても、<七つの大罪>に馴染もうとしてもそれができないバン。聖騎士時代の、にっちもさっちもいかないバンの寂しさ、切なさが伝われば本望です。

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I was born to love you.

■ チェックポイント ■
 ED後捏造/両思い/肉体関係あり/二人旅のさなか/ひたすらイチャラブ/キス/性行為を匂わす描写あり/妊娠オチ

 バンに抱かれた夜、エレインは珍しくひとり目を覚ましました。眠るバンに抱き締められたまま、エレインは今日までの二人旅を振り返ります。旅費を稼ぐためバンは働き、エレインは家を守り、帰ってくる彼を拙い料理で迎えてきました。
 ベッドの中では、バンに美味しく料理され、味わわれてしまうエレインは、あたたかな食卓に向けるバンの憧憬を思い出しました。彼の飢えを満たすため、エレインは彼との子どもを望みます。
 折りしも目覚めたバンに、エレインは子どもが欲しいかと尋ねます。父親になることにバンは戸惑いますが、エレインはジバゴという理想の父親を持つ彼なら大丈夫だと太鼓判を押し、次の旅ではジバゴの墓参りに行くことを提案しました。
 ジバゴの前で家族になることを二人は約束します。エレインが新しい命を身ごもる、それは少し前の話でした。

■ コメント ■
しっかり「夫婦」してるバンエレを書きたかったですね。食卓の描写は、セックスや愛情の代わりです。
バンはまっとうな家族に生まれ、愛されることはできませんでした。しかし、彼自身が新しい家族を作ることはできます。バンが得られなかったものを、エレインは自分が新しい彼の家族となり、彼の子どもを産むことで埋めてあげたかったんだろうなと。たぶん、このあたりのバンの飢えは、本人よりもエレインの方が正確に理解していそうです。
バンが母親似であること、ジバゴへの挨拶、エレインからのプロポーズ、に対抗したがるバンなど、小ネタがうまく絡み合っていればいいなと思います。

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Never set me free

■ チェックポイント ■
 ED後捏造/両思い/冬/二人旅のさなか/ひたすらイチャラブ/抱擁・キス/セブンデイズ時点とリンク

 生まれて初めて雪を見たエレインは、積もった雪原ではしゃいでいます。その姿を見守るバンは、かつて妖精王の森の生命の泉のほとりで見た光景を思い出していました。水面の上を滑るように踊る彼女が、バンは遠い存在に思えて不安を感じました。
 あの時と同じように、バンはエレインを求めて一直線に駆け出します。いきなりさわわれたエレインですが、彼女はバンの不安をわかっていました。今も昔も、彼のことなら彼女は何でもわかっています。そんな彼女は、昔のバンは何もわかっていなかったとからかいました。
 今ならわかるでしょう、というエレインに、バンはキスをします。正解かどうかも当ててほしいという彼女に、バンはキスと抱擁を繰り返しました。
  
■ コメント ■
ザ・冬! なバンエレ。
一度エレインを喪っているバンにとっては、どんなささいなことも不安と恐怖の一因になります。ある意味、セブンデイズのころよりずっと、エレインに関してはバンは強欲になっているのかもしれません。そんな彼の欲深さを、エレインは迷惑がるどころか喜んで受け止めます。爆発しろ、と言いたくなる二人を読み取ってもらえたらうれしいですね。
年上ぶるエレインの作風がMAXだった頃の作品のように思えます(笑)。バンエレは姐さん女房カプだよ~、というのは今も昔も変わらない私の主張です。

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あなたの傷を笑いましょう

■ チェックポイント ■
 妖精王の森/セブンデイズ時点/シリアス/エレインの過去/バンに泣かされるエレイン

 妖精王である兄がいなくなってからの日々を、エレインはアルモカの大樹に傷をつけて数えていました。100年も昔にやめてしまったその傷痕を、バンに見つかってしまいエレインはあわてます。
 しかしバンは呆れたり、気持ち悪く思うどころか、新しい傷を付け始めました。一緒に過ごした日数を超える傷は、バンがエレインを笑わせた数だというのです。数を稼ぐため、バンはエレインを無理やりくすぐってまで笑わせようとします。
 エレインは泣きました。自分が刻んできた傷が、兄への復讐だと認めたからでした。そんなエレインをバンは慰めます。バンによってエレインが笑うことこそ、兄への一番の復讐だといって。
 バンに促され、エレインはどうにかこうにか泣いた顔のままで笑って見せるのでした。
  
■ コメント ■
エレインが700年という年月をどうやって数えていたか、というところから始まったお話です。エレインの長い孤独は、それに耐えてきた彼女の強さの証明でもありますが、やはり本人にとってはつらいもの。そんなつらいものを、バンはエレインの「笑顔」の数で対抗しようとする、しかも自分が笑わせたものでなければカウントしないという徹底ぶり。
バンは長くてつらい孤独を知る人間です。エレインの傷に気安く触れてはいけないことや、彼女の心がそう簡単に癒されないことを誰よりも知っていると思うのです。そんな彼は、エレインの兄への復讐に問題をスライドさせることで、エレインの気持ちを慰めようとしました。もちろん、そこにはエレインの心の大部分を占める兄への対抗心があります。
なんだかんだで自己中で、でもそのバンの自己中さがエレインを救う。そんなお話にしてみたかったのでした。

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be my girl

■ チェックポイント ■
 妖精王の森/セブンデイズ時点/両片想い/ほのぼのからのシリアス/エレインの死に際/嫉妬するバン

 生命の泉から溢れた水に、バンとエレインは並んで足をつけていました。水中にただようエレインの小さくて白い足がバンには妙に気にかかります。誤魔化すようにじゃれあって、バンはエレインに彼女自身のことを尋ねました。
 妖精界に住んでいたころのことを尋ねられ、エレインはふるさとについて語ります。懐かしむ彼女に、バンは自分とこうしている現在が彼女にとって本意ではない気がして悲しくなりました。
 ちょうど彼女の兄の親友の話になり、バンは彼が好きだったのかとエレインに問います。エレインは否定しますが、片想いの相手がいることを打ち明けました。バンは急に嫌な気持ちになりました。それでもバンが森に留まることを、歓迎してくれるエレインに、彼の胸が痛むのでした。
 胸に大きな穴を開けたエレインは、片想いの相手はバンだと告げます。何もわかっていないとエレインは笑い、バンに最後の言葉をねだるのでした。

■ コメント ■
エレインが息を引き取るまさにその時を書いた作品は、実はこれが初めてなんじゃないかと今になって気づきました。ピクシブに載せるときも「死にネタ」タグを忘れるという大失態を重ね、ブクマや評価がぽこんと低かったのはそのせいかな(そのせいだと思い込みたいフシがあるのは否定しません。笑)。
メインに書きたかったのは「嫉妬するバン」なんですけどね。しかも無自覚。彼自身、エレインに惹かれていることをまだ良くわかっていない、仲の良い友達に実は自分よりもっと仲の良い相手がいるんだと知ったときのようなもやもや感に、恋愛要素を含めて……という難易度の高い描写に撃沈。
エレインの綺麗でつるっとした足にフォーカスした構成は気に入ってるんですけどね。

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Angelica

■ チェックポイント ■
 ED後捏造/両想い/エレインとディアンヌのガールズトーク/バン・キング不在/キンディア

 エレインとのお茶会に、ディアンヌはエレインへの愛情たっぷりのバンの手作りお菓子を羨みます。バンからの愛情を当然のように受け取る彼女からは、お菓子作りに使うリキュールのような甘い匂いがしていました。二人の関係にディアンヌはこっそりと憧れを抱きます。
 エリザベスのいない席で、エレインはディアンヌと兄との500年について礼を告げます。恨まれていると思っていたディアンヌは意外がり、エレインは恨まない理由にバンとの恋を上げました。ディアンヌは、エレインがそこまでバンを愛する理由を不思議がりますが、エレインはバン独特の価値観を愛していました。
 エレインの打ち明け話に、キングへの想いが感応したディアンヌは、キングとの500年間に抱えていた不安を吐露します。それはエレインにも実に覚えがあるものでした。
 エレインと別れたディアンヌは、キングの元へ走ります。バンとエレインに負けないくらい、彼と愛し合うために。

■ コメント ■
サイトにある全短編の中で、間違いなく一番力んで書いた作品。しかし、拍手の評価はイマイチというちょっと切ない作品でもあります。読んだ人が胸やけになればいいと念じながら、お菓子の表現を多用したのが敗因でしょうか……。
バンがエレインに、キングがディアンヌに注ぐ愛情とはどういうものなのか。エレインがバンに、ディアンヌがキングに恋した理由はどこにあるのか。そんなことをテーマにしながら、恋する女の子って可愛いお菓子みたいにおいしそうだよね!というのを全力で表現しました。
自画自賛でも満足です。

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Recipe for ……

■ チェックポイント ■
 ED後捏造/両想い/ひたすらイチャラブ/手の甲へのキス/オチはコメディ

 厨房で熱心に作業をこなしながら、バンはエレインにある女性の話を語りかけます。彼女は、夫を二人も殺した嫌疑をかけられていました。人殺しの話をしながら、器用に料理を作っていくバンをエレインはじっと観察しています。
 女性が夫を殺すのに用いたのは、彼女の芸術と呼べるような美味しい料理でした。彼女が夫に出したものと、同じレシピで作った一品をバンはエレインに差し出します。恐ろしい殺人メニューを前に、しかしエレインはいつにもまして食欲をそそられます。バンの料理なら、たとえ死んでも構わないと彼女は思いました。
 バンはエレインの前で、作った料理を毒見します。挑発的な態度に背中を押されたエレインは、バンの料理を食べる覚悟をしたのでした。

■ コメント ■
一番の力作だった「Angelica」と同時に掲載され、「Angelica」をはるかにしのぐ高評価をいただいた一編。「Angelica」を書き上げた息抜きのつもりで書いた作品なので、何がウケるかわからないものだなぁと実感しました。私は力んで書いたらつまらなくなるのか……?
バンの料理する姿を眺めるエレイン、バンの手際のよさ、料理の出来栄えは萌えどころとして意識していました。ラストのオチでクスッとしていただければ本望です。

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あるもかダイブ!

■ チェックポイント ■
 妖精王の森/セブンデイズ時点/両片想い/無自覚イチャラブ/抱擁/オチが少しシリアス

 アルモカの葉を乾かして、羽毛ベッドを作ろうというバンの思いつきにエレインは巻き込まれます。二人のベッドという言葉にこっそりドキドキするエレインですが、バンはいつもどおり。肩透かしを食らわされながら、エレインはバンに協力し、次第にのめりこんでいきます
 無事にベッドが完成すると、バンは高い枝からベッドめがけて飛び降りようとしました。不安げなエレインに、バンは励ましと共に自分の手を差し出します。結局はバンに抱え上げられて、エレインはアルモカのベッドに飛び降りました。
 妖精族にはない人間のバンの発想のおかげで、エレインは700年住んでいた森がまるで違うもののように思えました。バンもまた、同じ気持ちを抱えているようです。
 バンに抱き締められ、ベッドに押し倒されたエレインの胸は期待に膨らみます。しかしバンにはやはりその気はありません。がっかりしながらも、エレインの慎重さを嗜めるバンの言葉に、エレインはバンと共に世界に飛び立つ夢を見るのでした。

■ コメント ■
バンの小学生男子っぷりを全力で表現しようとしました。途方もない手間をかけてベッドを作る、できたらできたで違う遊びではしゃぎまわる。そんな彼に振り回されながらも、エレインが妖精王の森を楽しいものだと感じてくれれば良いなと願いながら。作中のバンも同じ気持ちだったかもしれません。
そして、エレインの耳年増、知識だけはいっぱいの様子も描かせて頂きました。今まで自分には無縁だと思ってきたことが、バンという存在でリアリティをもち始める。戸惑いながらもバンなら……と思ってしまう彼女を可愛く思ってもらえたらうれしいです。

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火のないランタン

■ チェックポイント ■
 妖精王の森/セブンデイズ時点/シリアスからのほのぼの

 人間の里を指して、エレインは人間がランタンを好む理由を尋ねます。バンはランタンが里の祭りのものであることを説明してやりました。
 エレインは祭りの詳細を尋ねますが、バンの答えは要領を得ない。家族に恵まれなかったバンは、祭りに参加したことがなかったのです。バンの心を読んだエレインは、自分も同じだと告白しました。兄を失った彼女にとっても、受け入れてくれる場所も彼女のためのランタンもなかった。
 孤独を共有したエレインに、バンはランタンを作りたがりますが火の起こせない森では叶いません。エレインはヒカリゴケを召喚することで二人のランタンの代わりにしました。
ささやかな金緑色の光を、二人はひっそりと楽しみます。

■ コメント ■
ハロウィン前にぱっと思いついて書いた記憶があります。キングの導苔(ルミナシティ)がヒントでした。
バンはハロウィンを知っているのに参加することができませんでした。エレインは人間の祭りの存在すら、バンに話してもらうまで知らずにいます。大勢の中での孤独と、誰もいない孤独。種類は異なりますが、互いが傍らにいることで長かった寂しさが癒される。ヒカリゴケのようなささやかな癒しかもしれないけれど、二人にとってはとても大切で貴重なことだと思います。

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君に教わるヴィーゲンリート

■ チェックポイント ■
 妖精王の森/セブンデイズ時点/ノベライズ『セブンデイズ』ネタ/シリアス/膝枕/無自覚イチャラブ

 くだらない話で、エレインがバンに告げた言葉は、かつてバンがジバゴに告げたものとまるで同じでした。エレインからの信頼の理由がわからないバンは、彼女が心を読めることを思い出します。しかしエレインは、バンの心は読まないと断言してしまいました。
 エレインはバンを優しく撫でます。彼女の手に、バンはジバゴを思い出しました。過去の裏切りで彼のことを忘れた、期待は持たないと思っていたことが、ただ心に蓋をしていただけなのだとバンは思い知ります。
 バンはエレインの体にしがみつきました。彼女は驚きながらも拒絶しません。それどころか、バンを受け入れてくれる彼女の優しさにバンはひっそりと涙を流します。同じく孤独を抱えた彼女に何かしてやれることはないか。バンは生まれて初めての与えてやりたいという気持ちを持つのでした。

■ コメント ■
バンの過去編を本誌で見てしまい、単行本収録前にフライングで創作せずにはいられませんでした。
あのジバゴとのいきさつを見ると、ノベライズでのバンの言葉が強がりに見えてしかたがありません。心の読めるエレインですら見抜けなかった強がりは、彼自身が必死に自分に言い聞かせてきた証のようです。
バンよりはるかに長きに渡って孤独に耐えてきたエレインだからこそ、バンの強がりを溶かせたのでしょうね。いつもバンの奇想天外な行動に驚かされているエレインですが、時にはバンが彼女の強さに驚くことがあっても良いと思うのです。

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